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東海地区最大規模!スタートアップの祭典『TOCKIN' NAGOYA 2024』開催レポート~Day2~

TOCKIN' NAGOYA 成果報告 お知らせ

2024.03.29

Day2

1.Forbes JAPAN SMALL GIANTS「未来への一歩」
〜グローバルニッチを制する小さな巨人たちの成功物語〜

世界有数のモノづくり集積地から生まれた、グローバルニッチトップのプロダクトやサービスを開発する「SMALL GIANTS(小さな巨人)」。その経営者に、挑戦秘話を語っていただくトークセッションです。
モデレーターはForbes JAPAN編集長の藤吉氏、聴講者の皆さんと共に、次なる挑戦へのヒントを探ります。

<モデレーター>

リンクタイズ株式会社取締役/Forbes JAPAN編集長
藤吉 雅春 氏

<登壇者>

  • 株式会社浅井農園 代表取締役CEO
    浅井 雄一郎 氏
  • 株式会社生方製作所 代表取締役社長
    生方 眞之介 氏
  • 株式会社コーワ 代表取締役社長
    服部 直希 氏

藤吉氏:「Forbes」は今から100年以上前の1917年、アメリカ・NYで移民の成功者のナレッジを共有するためにフォーブス氏が立ち上げた雑誌で、世界70カ国で発行されています。2014年に「Forbes JAPAN」を立ち上げ、「スタートアップ」という言葉を日本で広め、2018年より「SMALL GIANTS」のアワードを行っています。オンリーワンの価値を生み出す‘小さくても偉大’な企業の中から、今日は愛知、三重より魅力的な3社をお招きして、その強さの秘密を聞いていきます。それぞれ会社紹介をお願いします。

浅井氏:三重県・津市から来ました、浅井農園です。私たちは‘農作業者’ではなく、‘Agronomist(農学士)’集団であり「常に現場を科学する研究開発型の農業カンパニー」として活動しています。

主な事業内容は、品種改良(育種・種苗研究)、スマート農業技術研究(農学×工学/デンソーと組んで収穫ロボットなど)、農園経営(松坂市、いなべ市)です。

生方氏:私たち生方製作所は名古屋市南区にあり創業67年目、技術者である大学教授たちが集まって興した会社です。「社会に『安全』を供給する会社」として、ローテクですが独創的な技術で勝負しています。

主力製品として、インターナルモータープロテクター(世界シェアナンバーワン)、感振器、傾斜スイッチ(日本のシェア93%)、直流高電圧車台 熱保護デバイス(生方製作所のみの特許)などがあります。

キャッチフレーズとして「SILENT HERO」を掲げ、人の命を守る製品を社会に供給し続け、2年前には防災市場へ参入しました。「ミネルバ(知恵の女神)チーム」として4人で新規事業を創出し、3年目となる今年の売上高は、1億2千万円まで成長しました。

服部氏:株式会社コーワは、国内TOPの工業用・家庭用ブラシメーカーです。あま市で1935年より工業ブラシを製造し、ブラシの進化を探究してきました。

生活家電分野では、50年以上前から家電メーカーと共に掃除機ノズルを進化させてきました。フィルターのメンテナンスフリー技術も展開しています。産業機器分野では、洗浄、研磨等で使うブラシを供給し、道路整備から水産、自動車、精密機器、塗装、インフラに至るまであらゆる分野に貢献をしています。

私たちは現場のニーズを徹底して探究し、世界中で三現主義「現場、現物、現実」を貫いています。これまで特許を623件取得し、現在の特許保有件数は156件にのぼります。

パネルディスカッション

ホワイトボードに図を描いて整理しながら、藤吉氏が「ここからは挑戦秘話をお話しいただきましょう。」とパネルディスカッションへと移りました。

Q.新規事業に取り組むきっかけと、事業を形にするためにとった行動は?

藤吉氏:服部さん、「tanQuest(タンクエスト)」は社内の組織ですか?

服部氏:世の中にないものを創ったらタンクエストで売ろう、と立ち上げた社内事業です。当社は90年の歴史があり、これまでも軍需産業→自動織機の部品→家電へと軸足を移してきました。今後、車の内燃系が減るということで、変革する環境の中でとった行動です。

藤吉氏:なるほど、変化の波において事業を磨き続けているということですね。

浅井氏:浅井農園は、父の代までは、植木を100年続けてきた企業です。創業101年目に私がサラリーマンを辞めて戻ってきたら債務超過、という状況でした。第2創業として野菜、果物を始めました。現在116年目ですが、「植物を科学する」という意味では延長でもあります。

藤吉氏:新規事業はなぜトマトだったのでしょうか?

浅井氏:トマトって、子供の好きな野菜、嫌いな野菜ランキングでどちらも2位なんです。我々の経営リソースは農地しかありませんでしたので、ミニトマトをやってみよう、と。今では全国で最大の収穫量を誇ります。

藤吉氏:生方製作所の強みとして、「世の中の安全を作る」として、世の中にないものを3つ作ったということですよね。どうやって3つも?

生方氏:当社は創業社長はじめエンジニアの集まりだったので、「世の中にないもので必要なものを作ろう」とお客さんからの無理難題と思われる課題に挑んできました。直流を遮断するのに8年かかったんですよ。その風土がずっと続いています。ベテランと若手がタッグを組むので、挑戦する気持ちやノウハウが継承されていきます。

Q.新規事業に取り組むきっかけと事業を形にするためにとった行動は?

藤吉氏:浅井さんは第二創業ですよね。どうやって人を集めましたか?

浅井氏:挑戦することを「面白い」と思う人が集まってくれました。通過点として、辛いステージが誰でもあると思いますが、いつかは光が見えてくるものです。「未来への投資」と割り切って、事務所給料よりまず研究開発に投資をしました。生み出すキャッシュフローから研究分野へ優先的に投資をし、いかに自分たちが早く成長するかに重きを置いてきました。自分たちがめざすゴールへの合意をえて、そこへ皆で向かっていきました。

生方氏:その通りです。攻めの姿勢の会社は、どこも研究開発費に投資をしています。大手企業ほどの給料ではないのに、「パーパスに共感した、風土がいい」と名古屋大学や東京工業大学出身者が集まってくれています。「楽しい、明日も会社に行きたい」と思ってくれるような職場にするのが我らの仕事かなと思っています。

服部氏:事業において、大変な失敗を過去にしています。私は3代目ですが作った会社は30数社ありまして…それを一掃して原点回帰してからの再スタートだったので、慎重になりました。今では会計上のPLは全社員に見えるようにしていますし、利益がこれだけ増えたら皆に還元するから、と情報も見える化しています。

Q.これから事業開発に取り組む中小企業に向けてのメッセージを。

服部氏:自分たちはできるんだと鼓舞するのは大切ですが、無謀と挑戦は違います。その線引きとして、私は知財を判断基準にしています。知財は管理費がかかるので常に質を見極めて選択、その繰り返しです。皆さんも挑戦に向けて頑張っていただきたい。

生方氏:好きなことに挑戦する気持ちを大切にしてください。

浅井氏:私はいま43歳で、2年後に社長を交代しようと思っています。‘役割’として社長が交代できるような組織にしていきたい。もうひとつは農業と福祉の連携です。障がいは「違っている」だけで、苦手なところは誰かにやってもらえばいい。失敗に対しての寛容性も必要だと思っています。

4人の話に聴講者も引き込まれ、時が経つのがあっという間のセッションでした。

2.サポーターズセッション supported by AWS

アマゾンウェブサービスジャパン合同会社が企画、「トクイテンの挑戦 名古屋発のハードウェア×スタートアップの勝ち筋」と題してセッションを行いました。(株)トクイテンは愛知と東京を拠点に、生産者として有機農業を営みながら「AIとロボットによる有機農業の自動化」を目指すスタートアップです。

<モデレーター>

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 事業開発マネージャ Startup 担当
加藤 寛 氏

<登壇者>

  • 株式会社トクイテン 代表取締役
    豊吉 隆一郎 氏
  • 株式会社MTG Ventures 代表取締役
    藤田 豪 氏

トクイテンのビジネスを紹介しながら、名古屋の地域性を捉えた今後の潮流についての意見交換を行いました。「なぜ有機農業が必要か?」という問いに豊吉さんは、「農業で使われている化学肥料などは、化学燃料を燃やして作られている。持続可能な社会を考えると、有機農業へのシフトは必然の流れだ」と答えます。

他にも「大企業が集まるこの東海地区で、これからは複業・兼業をしていくのが当たり前になっていくし、スタートアップがその選択肢になっていく」「国が力を入れると発信しているので、この先スタートアップに関わらない人はおそらくいないだろう、だったら早い方がいい」「以前はハードウェアに投資をうけることが難しかったが、最近はシードでも資金調達を受けやすくなっている」など、聴講者の気持ちを後押しするようなコメントが活発に飛び交いました。最後に豊吉さんより「名古屋でハードウェアのスタートアップをすると、この地域ならではの‘モノづくりネットワーク’があることがわかってくる。

例えば何か作ろうとしたときに、朝のうちにいろいろな会社に電話をすると、夜にはパーツが集まってくる。スタートアップだと2〜3日さえ待てない時があるので、このスピード感はありがたい。人は必ず食事をするし、食べ物で次の未来を創っていきたい。ぜひ皆さんと一緒に頑張りたい。」と力強いメッセージをいただきました。

3.TOCKIN’ NAGOYAカジュアルオフィスアワー

Central Japan Startup Ecosystem Consortiumの登録サポーターである弁護士や弁理士による相談会を開催。スタートアップ支援経験の豊富な専門家に無料で相談できる貴重な機会となりました。

<参加サポーター>

  • アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 吉井 一浩 氏
  • 弁理士法人 瑛彩知的財産事務所 竹本 如洋 氏
  • 法律事務所ZeLo・外国法共同事業 真下 敬太 氏

4.新規事業の最新潮流2024①~加速する世界の中で東海圏は生き残れるのか~

クラッシックな東海圏に大きな変化、マインドセットの変更を促すセッション。
爆速で動き始めた世界の潮流の中で、新規事業が次々に生まれる東海圏に「成長するための要諦」をお話いただきました。

<登壇者>

  • エクスポネンシャル・イノベーション 代表
    齋藤 和紀 氏
  • 01Booster Capital 取締役/パートナー
    浜宮 真輔 氏

グーグルの生成AI「Gemini1.5」、AGI(汎用人口知能)…と最新のキーワード満載のトークセッション。浜宮氏はベンチャーキャピタルの視点、斎藤氏からは事業家・スタートアップ支援の側面からお話をいただきました。

「さまざまなプロジェクトへの投資を通じて社会課題を解決していける」ことがVCの魅力だという浜宮氏は、「出資検討側として気になること」に言及します。それは、

  • この経営者はなぜこのビジネスをやりたいのだろうか?
  • マーケットは本当にあるのだろうか?
  • サービスを作りきれるのだろうか?
  • メンバーを集めて事業を伸ばせるだろうか?

という点です。また、資金調達時のエクイティファイナンスの流れや、企業からのスピンオフの潮流がきていること、政府・自治体の方針理解と連携が鍵であることなど、さまざまな観点でアドバイスをいただきました。

斎藤氏からは、現在のAI性能の進化、DXの速さなどを挙げ、テクノロジーのスピードは指数関数的に加速していくこと、メガトレンドテクノロジーの観点では、全ては掛け算であり、他のテクノロジーが他のテクノロジーに影響していくこと、デジタル化によって社会の変化・企業環境の変化は否応なしに訪れ、変化は加速すること(デジタルディスラプション)、AIの進化によって人類も進化していることなどをわかりやすくお話いただきました。

最後に「いままでとこれからは連続しない、新しい時代になっていく。想いは必ず声にだそう」とメッセージをいただきました。

5.新規事業の最新潮流2024②~新規事業を次々に生み続けるには~・~変化の時代に変えるべきコト・変えるべきでないコト~

新規事業創出の専門家として数々の事業や企業経営に関わる守屋実氏、数多くの事業創造を支援してきた石川明氏、VCとして支援経験豊富な浜宮真介氏をパネリストにお迎えしたセッション&パネルディスカッションです。

<モデレーター>

株式会社Relic CRO室 室長 名古屋オフィス支社長
田中 翔太良 氏

<パネリスト>

  • 株式会社インキュベーター 代表取締役
    石川 明 氏
  • 新規事業家
    守屋 実 氏
  • 01Booster Capital 取締役/パートナー
    浜宮 真輔 氏
  • 氏名五十音順

前半のトークセッションでは守屋氏と石川氏に登壇いただき、それぞれテーマに沿ったお話を展開。「新規事業家」であり、ユニコーン企業である「ラクスル」の創業メンバーでもある守屋氏からは「新規事業を次々に生むには」というテーマでお話しいただきました。「19歳で初起業参画以来、35年間にわたってさまざまな新規事業に携わってきました。今日伝えたいメッセージは、新規事業にはリーダーシップもフォロワーシップも大事なので、フォロワーシップを含めて‘やらないよりはやった方がいい’ということ。新規事業は必ず生み出せます。」と力強いエールをいただきました。

続いて石川氏からは、「変化の時代に変えるべきコト、変えるべきでないコト」というテーマでお話しいただきました。大手企業の新規事業開発支援として、これまで150社、2500案件、5000人に伴走した経験を持つ石川氏からは、
「巷では『事業環境の変化が激しい』『変化のスピードが上がっている』と煽りますが、VUCAの時代って本当ですか?先行きのことは本当に分からないんですか?分からないから仕方がない、と思考停止してませんか?大手企業だから、変革のスピードはスタートアップには敵わない、と最初から諦めてませんか?」という問いかけがありました。「大手企業の新規事業開発は、多少の振れ幅や時期のズレがあったとして、それを許容できる『体力』を最大の武器にできるメリットがあります。変化の大きな方向性を見定めたうえで、適度な投資規模の中でまずは「小さく早く始める」、そして「たくさん」張っておくこと。するとどこかで化けるのもが出てきます。一方で「長年時間をかけて培ってきた『コア』はそう簡単には変えられないし、変えるべきでもない。」というお話しをいただきました。

続いて第2部のパネルディスカッションへ。

ここからはVCの浜宮氏も加わり、モデレーター田中氏の進行により話が展開していきます。

Q.新規事業開発・社内企業での成功事例、挑戦話、現在うまくいっている事例は?

浜宮氏:ベンチャーキャピタル視点での話をすると、スピンアウトして成功する事例が増えています。元の会社のアセットをうまく活用できている。

守屋氏:技術系スタートアップには信頼残高がない。一方で大企業は信頼残高が積み上がっている時点で大きなメリットですよね。

石川氏:信用残高の話で言いますと、社内で事業を興すときも、社内に信用残高がある人がやった方がいい。信用残高の高い人が新規事業やってダメだったら仕方ないよね、と言われるが、そうでないと「だからダメだったんだ」となりがちなので。

=中略=

守屋氏:私は60案件ほど個人で資金を入れてるんだけど、相手の熱意に惚れたら「私も働かせてください」と言ってしまうタイプ。

浜宮氏:シードからのキャピタルなので、まったく同じです。私たちも創業前から入るので。

石川氏:守屋さんが信用されるのは、‘言ったらやりきる人’だから。皆さんもアサインされたらやりきらないと、次のチャンスは巡ってこない、という心づもりが大切です。

Q.「誰かのために」という思いはありますか?

守屋氏:ラクスルは、印刷というインダストリーを変革するためにやっているし、「自分の小銭稼ぎのために」では共感が集まらないですよね。大きな取り組みはできない。

石川氏:「誰かのために、自分がどうにかしてやる」という使命感が大事。

浜宮氏:ヂューデリジェンスするときに、「誰のため?何のために?初期衝動は?」を私たちも重視しますね。

Q.東海エリアが目指すべきイノベーションの方向性について

守屋氏:今日は「クラッシックを乗り越える場」だと思います。一歩を踏み出し実行してみましょう。

石川氏:ちょっと煽るようなことを敢えて言うと、東京に比べて少し遅いなって思います。東京では10数年前から動いています。東京も大阪も京都も札幌も動いています。最初の一歩を踏み出せば、それを見た周りの会社も動いていく。意志が伝播して東海圏、日本の企業全体が変わっていくと思っています。

浜宮氏:スタートアップの成功事例がひとつでれば、その資金で支援側に回る、というエコシステムがまわりだします。

具体例も多く挙げていただきわかりやすく、かつ聴講者の心に響くセッションとなりました。

6.ベンチャーズトーク2024 ~Tongali大学発ベンチャー企業のつどい~

『Tongali』を構成する大学から生まれた、革新的なシードステージの大学発ベンチャーが登壇。「研究成果を生かしたテック」「ニーズドリブンの学生発」など多種多様な10の企業によるピッチです。

開会挨拶として名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部 知財・技術移転部門長の鬼頭雅弘教授より「本企画は、大学発ベンチャーと支援機関の交流の場として開催しています。これまでは名古屋大学発ベンチャーのみでしたが、2年前からTongali発ベンチャーへ間口を広げ、累積資金調達額は1000億円となりました。多くの企業がスタートアップエコシステムが重要だと考えていますので、ぜひTongali発ベンチャーの成長に力を貸して欲しい。」とメッセージをいただきました。ここから基調講演のスタートです。

<基調講演>

豊橋技術科学大学 情報・知能工学系教授/株式会社ICD-LAB 岡田美智男氏

「<弱いロボット>の社会実装にむけた取り組み」

「誰かの助けがないと何もできない不完全なロボット」という「弱いロボット」を研究し、社会実装に向けたさまざまな取り組みをされている岡田教授の講演では、「クルマをソーシャルなロボットとして捉えたらどうか」「子供に‘弱いロボット’に触れる機会をつくるため、共生型STEAM学習に‘弱いロボット’を使ったらどうか」などの研究アイデアの他、「弱いロボットと協働学習できるようにする多人数会話型ロボット」や「教室内で子供と教師をつなぐ弱いロボット」のご紹介もいただきました。

さて、ここからは『Tongali』発10社による各7分のピッチがスタート。
コメンテーターは以下の2名です。

  • 株式会社Subtitle 代表取締役社長/名古屋市客員起業家
    加藤 厚史 氏
  • Beyond Next Ventures株式会社 執行役員/パートナー
    橋爪 克弥 氏
  • 氏名五十音順

<登壇企業>

  • ZATITECH合同会社(名古屋大学)
  • 株式会社SAZO(名古屋工業大学)
  • Fotographer AI株式会社(名古屋大学)
  • クレイジーゼロ株式会社(名古屋市立大学)
  • 合同会社DD(静岡大学)
  • 株式会社ジーシーサイエンス(名古屋大学)
  • 株式会社Applied FUSION Technology(自然科学研究機構)
  • 株式会社Quastella(名古屋大学)
  • 株式会社GIFU EXOSOME(岐阜大学)
  • 株式会社バイオシスラボ(藤田医科大学)

閉会の挨拶は、Beyond Next Venturesの橋爪氏より「地域のつながりや、参加者の熱量を感じました。東海地区の強みだと思います。発表してくれたスタートアップの方々は今後資金調達をしていくと思いますが、大事なことは自分たちの強みや事業内容、解決したいことが何なのかをシンプルに伝えること。相手の限られた時間のなかで伝えて、また話を聞きたい、話をしたいと感じてもらうことが大切です。それは資金調達だけではなく、採用や支援者を探したいときにも有効なのでぜひ心に留めていただきたい。この地域がスタートアップを担う中核地域になっていければ、と私も思っているので一緒に頑張っていきましょう。」とお言葉をいただきました。

7.世界で注目される医療スタートアップの魅力と成功の鍵

米国で医療スタートアップが盛り上がっています。なぜ医療スタートアップが世界的に注目されているのでしょうか?
ライフサイエンス、デジタルヘルスのスタートアップの豪華登壇者による、日本の医療スタートアップの魅力と成功の鍵を語るパネルディスカッションを行いました。

<モデレーター>

名古屋市客員起業家(スタートアップ・エコシステム構築の推進リーダー)
木野瀬 友人 氏

<登壇者>

  • デジタルハリウッド大学大学院 特任教授/東京医科歯科大学 臨床教授/医師
    加藤 浩晃 氏
  • LINK-J 常務理事/CEO
    曽山 明彦 氏
  • ライフタイムベンチャーズ 代表パートナー
    木村 亮介 氏
  • PRIVENT 代表取締役社長
    萩原 悠太 氏
  • 氏名五十音順

2023年12月に住友グループへジョイン(エグジット)したばかりのPRIVENTさんの話題で始まった本セッション。加藤氏よりヘルスケアスタートアップ企業数など資料で示しながら話題提供をいただき、「ヘルスケアビジネスで大事なことは作るだけではなくきちんと売る、ということ。しっかりマネタイズできるかが鍵となる。」など業界に即したアドバイスをいただきました。

また2023−24年の医療スタートアップの動向として、医療機関の事務関連サービスが伸びていること(人の採用、業務改善、集客、SNS運用など)、オンライン診療サービスが拡大していることなど共有いただきました。またプラットフォーマー大企業の動きを見ながらのサービス開発が必須だという話がありました。

医療スタートアップの成功に向けては「思いを強く持って心のこもったプロダクトをつくりがちだけど、どう届けるか、もセットでやっていくのが重要」「海外展開は必須」「マネタイズだけは忘れないように」「究極は患者さんのため。周りの手をかりながら、やれることを増やしていくこと。」と意見をいただきました。

8.J-Startup CENTRAL第四期 選定記念ピッチ&大交流会

J-Startup CENTRALの第四期の選定を記念して、NEXT J-Startupとなりうる当地域の有望なスタートアップ企業のピッチイベントです。

開会挨拶は、名古屋市副市長 中田英雄氏より
「スタートアップの推進にずっと力を注いできましたが、最近加速度的に盛り上がってきたことを実感しています。合わせて38社のJ−Startup CENTRAL第四期、このなかから日本全体のJ−Startupへ行く企業もあることでしょう。楽しみにしています。」とお言葉をいただきました。

続いて、名古屋市経済局スタートアップ支援室 鷲見敏雄氏よりJ−Startup CENTRALの取り組みについて紹介がありました。いよいよ登壇企業によるピッチのスタートです。

コメンテーターは以下の7名です。

<J−Startup 推薦委員>

  • EDGEof INNOVWTION CEO
    小田嶋 Alex 太輔 氏
  • デジタルハリウッド大学大学院 特任教授/東京医科歯科大学 臨床教授/医師
    加藤 浩晃 氏
  • ライフタイムベンチャーズ 代表パートナー
    木村 亮介 氏
  • 株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ 代表取締役社長CEO
    郷治 友孝 氏
  • LINK-J常務理事CEO/東北大学特任教授/株式会社エグゼクティブ・アライアンス代表取締役
    曽山 明彦 氏
  • Archetype Ventures/Managing Partner
    中嶋 淳 氏
  • EY 新日本有限責任監査法人
    藤原 由佳 氏
  • 氏名五十音順

<登壇スタートアップ>

株式会社Arts Japan
教育現場DXのオールインワンSaaS「Revot(レボット)」シリーズの開発・運営

株式会社ウェイストボックス
環境コンサルティング(主に気候変動に関する情報開示)

エイトス株式会社
製造業の改善提案制度をDX化し、省エネ・脱炭素の改善アイデアの収集・実行を支援するCayzenの開発

株式会社Opt Fit
防犯カメラの映像を活用した現場DXソリューション

株式会社CaTe
心臓リハビリ分野等における運動療法・行動変容機能を持つプログラム医療機器の研究開発

株式会社トクイテン
持続可能な農業に向けてAIとロボットで栽培を自動化するシステムの開発、有機野菜の生産、パッケージ提供

株式会社パワーウェーブ
次世代のワイヤレス給電技術システムによる、エネルギー提供の最適化でカーボンニュートラルに貢献

株式会社フレンドマイクローブ
高性能微生物を駆使した革新的な油分解技術により、環境問題の解決と持続可能な資源環境を目指す

株式会社Wewill
バックオフィス業務の分業管理SaaSの提供を通じたバックオフィスプラットフォームの運営

株式会社ゼロワン
デジタルツインソリューションシステムの企画開発販売

1企業あたり7分(プレゼン3分+質疑応答4分)とリズムよくピッチを展開。コメンテーターの方々からの「競合優位性は?」「ステークホルダーからのネガティブなフィードバックをどのように打ち返しているのか?」「売り方は?そのまま売るのか、研究開発ごとの受託なのか」などの質疑に、登壇企業側も即応するという活発なやり取りが繰り広げられました。

ピッチ終了後は、会場をガレージ広場に移して交流会を開催。名古屋市長の河村たかし氏も駆けつけて「乾杯!」のご発声をいただきました。2日間の祭典を走り続けてきた皆さんの熱気冷めやらぬ雰囲気の中、登壇者、支援側に関わらず、参加された皆さんがリラックスした表情で親交を温めていました。

交流会でお話を聞かせていただいた方々のコメントをここでご紹介します。
まずはピッチを終えたばかりの登壇企業の方2名に伺いました。

  • 株式会社パワーウェーブ 取締役副社長 種田 憲人 氏
    「当社はモビリティ、インフラ、とモノづくりのディープテック関連の事業を行っているので、モビリティ関連企業の集積地である東海圏で評価していただき皆さんに知っていただけるありがたい機会となりました。想像より多くの方に興味を持ってくださったようで、VCの方にもお声がけいただきました。きっかけづくりの場となり感謝しています。
  • 株式会社トクイテン 代表取締役/共同創業者 豊吉 隆一郎 氏
    改めて皆さんの期待に応えなくては、と思いました。「多くの方に応援、支援していただいている」と実感しました。J−start upも狙っていきたいです。

主催側、支援する側、サポートメンバー…と様々な立場の方が心を合わせて開催にこぎつけた、東海地区最大規模・スタートアップの祭典『TOCKIN’ NAGOYA 2024』。ホッと安堵の表情を見せる方々にもお話を聞きました。

  • 株式会社スタメン 代表取締役 大西 泰平 氏(当事者側/サポートメンバー)
    名古屋でもスタートアップの機運が高まっていると感じます。今回で3回目、今後さらに規模も拡大していくでしょう。基調講演でお話されたPaidyの杉江さんやユーグレナの出雲さんの話を直接聞けるのは、とても貴重な機会だったと思います。若い世代の方々にも響いたのではないでしょうか。
  • 名古屋市 客員起業家(スタートアップエコシステム構築の推進リーダー)木野瀬 友人 氏(支援者)
    名古屋のスタートアップ界隈が盛り上がっている理由として、社会の変化により名古屋でも起業しやすくなったことが挙げられます。いま東京では共同創業者を見つけるのが難しい、という逆転現象が起きており、名古屋は事業会社の社員をやっている優秀な方が多い(優秀さ、能力は東京と変わらない)ので、共同創業者を見つける土壌としてとてもいいと思います。
  • 名古屋市副市長 中田英雄 氏(主催者)
    ユーグレナの出雲さんのような業界のトップから、「飛び出せ」と刺激をいただきました。東海地区は豊かな恵まれた地域のため、若者もそのなかで生きていけるから「この地域にはベンチャーは広がらない」と言われてきましたが、私なりの解釈は、①飛び出すには→教育が大事、②周りにそういう人がいない→コミュニティが育ちロールモデルになる人が増え続けている、ということです。
    私も名古屋のスタートアップを他地域へもっとPRしていきます。
  • 内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局 イノベーション推進担当 後藤 友紀 氏(名古屋市より出向中)
    私は内閣府で全国8のスタートアップ拠点を担当しているので、他都市の盛り上がりも目の当たりにしていますが、とりわけ名古屋は年々勢いを増していると感じます。今年は東海地区以外からの参加者も増えたので、これまでと規模感が変わってきたのでは、と思いました。

これにて全プログラム終了です!
参加者の皆さん、支援者の皆さん、運営に関わられた皆さん、おつかれさまでした。また来年お会いしましょう!